Cork

大学生スプリンターの考えすぎる練習日誌

どこにでもいる大学2年生の短距離練習日誌

7/25(木) もっと集中しよう

さぁ、昨日の動画鑑賞の時間だ。

 

 

250

腕振り

以前立てた腕振りの理論の正しさを証明するかのような腕振りだった。やはり腕に疲労がきていない時、ラストで腕が体の側面をしっかりと通過している。

腕振りを見ることで、疲労具合がわかるだけではないことがわかる。つまり、手がしっかりと体側を通過していると言うことは、肩と体幹部に疲労がきていないということで、それ以前の走りで無駄な力みがないということを示している。

 

肩振り

肩から振るくせを直そうとしても簡単には直せない。なぜなら、それは体幹部の安定性、つまり筋肉に大きく依存しているからだ。今回の250ではやく100m過ぎたところで肩からの振れが始まった。

 

ラストの接地

4の字理論には遠いが、それでもだいぶ改善された接地。片足が接地するタイミングで脚をある程度引きつけられている。理想はここで4の字が作れていること。

下の画像を見れば、そのタイミングの惜しいズレがわかるだろう。

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250のラスト

 

接地位置はよかった。ラストで減速が抑えられたのはこれのおかげだろう。

腕振りの負の連鎖?

二つ目の違和感は、腕振りのタイミングがそれでいいのかということ。接地した時点で、手のひらが体のほぼ真横に来ている。接地とおそらく同じタイミングで、手が上方向に向かっている。ちょっとタイミングがズレていないか?腕振りから水平方向のパワーを取り出そうとするのは意味がない。腕振りは基本的に垂直方向のエネルギーを生み出すか、安定性を作り出す役割を担っている。今のままでは、水平方向に若干のパワーを与えかねない。これは体幹部のねじりを作り出していることを意味する。腕振りに勢いを持たせるタイミングをもう少し早くすべきだろう。体の真横を通る時くらいに。そうできていないのは、腕が後ろに振れていないから。後ろに振れていないのは、体幹疲労により、肩ごと振れているから、肩や体側との相対的な変位が小さくなっている。簡単に言えば、負の連鎖ということ。

 

体幹部の疲労

肩ごと振れる

腕が後ろまで振れない

腕振りのタイミングが遅くなる

水平方向の力が生み出される

体がねじれる

体幹部がさらに疲労し、ねじれによりさらに肩から振れる

 

ラストの腕振りの様子がよくわかった。自分の走りが頻繁にカッコ悪いと言われ、自分でも醜いと思うその理由は、肩から振れているから、というのは知られていたが、あそこまで酷くなるのはもしかしたらこの負の連鎖のせいなのかもしれない。

ここまで考えれば、腕振りに関係する筋肉を増やす。それが最優先事項に思える。ただ、疑問は残るだろう。じゃぁ、自分よりその筋肉に劣る人はみんな同じ走りをするのか、と。これが筋肉の量だけで片付けることのリスクだ。骨格や筋組成の違いが指摘されるかもしれないが、自分はそれだけではないと思う。腕振りの何か大切なポイントがわかっていないのだ。腕振りのタイミングや意識が、できる人のそれと違うのだ。深入りはしないでおこう。

 

150

スタートの予備動作

例のごとくはるやさんと比べる。

まず、驚くほど自分のスタートが遅いことに驚く。はるやさんが一歩目着く頃自分は何をしている?脚を引き上げ途中だ。別に脚をつく位置が自分は遠いというわけではない。同じ位置につくのに、自分の方が遅いんだ。よく見てみると、スタートの時点の予備動作が無駄であるとわかる。音を聞いてから、自分は一旦下腿と大腿を縮ませる。この時間が無駄である。この予備動作によって一歩のパワーが上がるわけではない。自ら好んで止まっているように見える。

 

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予備動作の間静止を続けている

自分は予備動作をしているつもりはない。そもそもこのスタートを作った目的が、予備動作をなくすためだ。キクチさんとはるやさんを合わせて開発した。2週間ほどで作れて、その後も悪くないスタートだったが、ここ最近、楽な加速を研究している間にだいぶ崩れてきた。この辺で作り直す必要がある。

 

予備動作を好んでする人はいないだろう。自分の考えはこうだ。スタート時は、基本的に後脚にパワーを加える。(CGC理論による「倒れこみスタート」では、重心を前に持って行って、後脚で蹴らずにも自然に走れるというスタート「仮想スタート」があったが、実際あれはパワーが足りない。回転速度も遅い。)後脚にパワーを加える際に、その脚の配置ゆえに予備動作が生まれてしまっているのではないか?つまり、脚がエネルギーを吸収するような状態でスタート位置についていたり、もしくは、足にパワーを吸収されるような無駄な方向にパワーが加わっている。動画を見る限り、おそらく両者ある。

 

前足と後ろ足がだいぶ開いている。これによって、エネルギーが吸収されて、予備動作に変わる。吸収されたエネルギーは下腿へと伝わり、疲労とほんのちょっとのパワーに変えられて無駄になる。そもそも体が下を向きすぎていないか?もうすこし、あと15度ほどでいいから体を起こすと良いだろう。そもそも手の上げ方が、高い気がする。楽な加速では2mほど前を向けばいいわけだから、ここまで下を向く必要はない。

 

まとめれば、もう少し体を起こしたスタートをすることによって予備動作をなくし、反応を早めようということ。

 

これだけで0.1秒から0.2秒ほど速くなるだろう。反応スピードだけでなく、パワーの伝達も向上するからね。

 

 

加速のベクトルが安定していない

 

決定的な遅さの原因は加速にある。スタート時の姿勢から、約1秒から2秒で人は加速の姿勢になる。この際のベクトルは斜め前向き。このまま加速を続ける。そこから約4秒ほど続く。この4秒が自分にはないのだ。自分は、加速のベクトルが形成されたのち、そのままの流れで、体幹の下部が起き上がる動きに入る。この瞬間、体が一瞬猫背になる。そのあと、体幹の上部が起き上がる動きに入る。これで4秒を消費しているのだ。悲しい。簡単に言えば、ベクトルが真上か、もしくは後ろ向きになっているということ。春合宿3日目に戻った気分だ。おそらく、スタートの姿勢が低すぎたのと、練習的に体にきていたから、地面を押す方を優先してしまい、地面を上から踏みつける感じになってしまった。地面は上から押しても何もしてくれない。抗力はあくまで作用線上にしか作用しないから。

 

よくわからないけど、動画を見ていると、なんだかクリーンのこの前の発見を思い出す。クリーンは脚が曲がった状態で、ある一つのベクトルのパワーを生み出す必要がある。その際に、尻をひくのがポイントだ。ケツをひくと、臀部の筋肉や大腿の筋肉を使えるようになる。こうして、安定した強力なパワーが生み出される。

 

加速のパワーとベクトルを鍛える方法がわかった。クリーンによって感覚とパワーを養う。メディシンボール投げによって、より実戦に近いベクトルを体感する。スパイクを必須とする加速練によって仕上げる。

 

まとめ

色々なことがわかった。

・腕振りと肩振りと負の連鎖

・スタート時の予備動作

・加速時のベクトル維持がない

 

動画鑑賞に期待するな

動画鑑賞はそこまで時間をかける必要はないかもしれない。動画を見ればなんとかなるっていう発想が自分の中にあった。ただ、実際動画から学べることは思っているほど多くない。今日それがわかった。そうやって後に期待すると、本番をおそろかにしやすい。あくまで主体は自分。走っているときは、感覚という最大のフィードバックをもらえる。動画の中にそれは残っていない。感覚を思い出すなんていうのはハッタリだ。感覚を記憶するのは非常に難しい。練習の際にもっとしっかりと走りと向き合おう。感覚をつかもう。きっと動画鑑賞でしかできないことはある。それでも、間違い無く言えるのは、動画鑑賞よりも実際に走った方が何倍も得られるものはあるということ。

単なる感想を言うだけなら走るべきではない。感情は時には必要だ。ただ、感情に流されて、もっと大切なことを見逃しているのではないか?

今回の練習で200が終わった後、自分は何も得られなかったと言った。何も得られなかったんじゃない。得なかったのだ。得る気がなかったのだ。そんな状態じゃ何本走っても意味がない。走らず帰った方が賢明だろう。

理論派は必ず勝利する。でもその理論って感覚の上に成り立っているからね。

一本一本の走りから学ぼう。

感覚のフィードバックをしっかりともらおう。

てきとうに走るのはやめよう。

もっと集中しよう。

そして楽しもう。

 

気分が高揚してしまったところで今日の動画鑑賞は終わり。明日は加速のベクトルを体に染み付かせよう。明後日は不可能がないことを証明しよう。楽な走りに革命をもたらそう。 

(祝3500字)