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大学生スプリンターの考えすぎる練習日誌

どこにでもいる大学2年生の短距離練習日誌

12/11(水) はちゃめちゃフォームの友達がなぜ300mで速かったか?

 

12/11 (水)

 

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40秒間走 * 4

 

 

前談

 

自業自得で脚を痛めて今日は走れないので、ビデオカメラ係をしながら、みんなの走りを見ていた。

 

人の数だけ走り方があって、自分はそれを見てこなかったんだなぁ、なんて当たり前のいつもの反省をする。

 

練習で自分が走ると、周りの人の走りを見る余裕は精神的にも身体的にもない。

その余裕が持てるようになりたいと思った。

 

より効率的に速くなるには、一度の練習で得られることを増やせば良い。

その方法として、今までは、自分の練習の中で、一本一本を丁寧に走って毎回振り返ることや、他人にアドバイスをもらうことを大切にしてきた。

走りをよく分析し、一本の練習から2つ得られれば、それは2本走ったことと変わらないと思う。

 

他にも、他人の練習から吸収できれば、さらに多くのことを学べるかもしれない。

その人が遅かろうと速かろうと、上手かろうと下手であろうと、他人の練習から何かを一つ吸収すれば、僕は2本走ったことになる。

 

この考えは間違っているだろうか?

 

 

今日の主人公  K

今日の練習では40秒間走り続けてどこまでいけるかってのを4回やった。

 

最近はしょっちゅう怪我をしている、高校で競歩選手だったKの走りが目にとまった。

 

彼のフォームは、はっきり言ってメチャクチャだ。

脳筋でジョグ好きのKは、400のプランを「最初頑張る、途中もっと頑張る、最後はもっと頑張る」と言う。

400mは彼曰く、「大和魂」があれば走れるそうだ。全く、ふざけている。

 

練習前に、今日の練習の意図を話すと、彼は胸を張って言った。

「いや、俺は何も考えない!」

 

僕とは対極の考えを持つ彼の走りが、なぜ速いのか、考える必要があった。

 

 

 

今日のK

 

彼の走りは部では「コバンザメ」と呼ばれている。

誰かの後ろにぴったりくっついて、ラストらへんで喰らいつく戦法。

(最近は少なくなってきたが。)

 

 

思うに、Kは加速の走りを持っていないはずだ。

でも、「ねばる走り」とか「最後にあげる走り」を何かしらの形で持っている。

体の使い方か、はたまた本当にその「大和魂」とやらなのか。

 

 

 

K2本目だけ速かった

 

今日のKは、2本目だけ、速かった。しかも異常に早かった。

 

見る必要はないが、一応練習動画を乗せていおこう。


速いK

 


遅いK

 

 

 

これをビデオカメラ越しに見た僕は、どうしてもKの走りのどこが速いのかを知りたくなった。

 

Kの走りは、加速も中間もダメダメだ。でも、ラストだけは速かった。

(ラストが速いっと言うことは、ラストで残せる省エネな走りを前半でできていると言うことか?)

 

なぜ彼がラストが速かったのか?

 

それではKのラスト100を見てみようか。

 

速かった2本目と遅かった3本目を比較するとわかりやすい。

 

これが速かった2本目

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これが遅かった3本目

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ボーンを生成したが、やはり何も得られなかった。一応頑張ったので載せておく。

何かわかった人がいたら教えて欲しい。

 

 

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その壱 振り下げが遅い

 

まず一つ目。

それは、彼はストライドを無駄にしていないのだ。

 

前に振り上げた「かかと」を引き戻していないのだ。

 

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隣を走っていたF君と比較しよう。

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両者の違いは、(わかりにくいが) モモ(もしくは踵) の振り下げにあるとみた。

 

Kのモモの振り下げは遅く、つまり振り上げた脚が高い状態でキープされていたのだ。

 

下の図に載せた黄色矢印は、振り下げの様子を僕の勝手なイメージで描いたので、大した精度はない。モモを赤線で描いた。

 

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一方、Fやその他多くの友達は、みんなすぐに脚を下ろしている。

 

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僕が観察する限り、ほとんどの人はすぐに脚を振り下げていた

振り下げがゆっくりだったのは、宮路とKだけだった。

 

その2人、ともにラストの伸びがあった。(テキトウな表現で申し訳ない)

 

 

その弐 接地点に重心が乗っている

 

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これが速い時のK

 

 

平行方向への速度が存在することも考慮すると、この重心位置(腰の位置)が、接地点に乗っていると言える。

 

つまりそれは、接地ごとのロスがないことを意味している。

 

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遅いKと比較する。

本当に微妙な違いだが、遅い時の接地は少し前にある。

 

この少しの位置の差は、ブレーキの有無を分けるから、大きな差になるのだ。

 

(重心が乗っているかどうかを、Kの前傾具合で評価することもできるだろう。

つまり、速い時は擬似的な前傾を作り出すことで、全体の重心が接地点の真上に来るようにできている。遅い時は、直立状態になっていて、接地脚がつっかえ棒になってしまっている。)

 

 

その参 引きつけが早い

 

これは当然の考察であるが、間違いなく速かった理由の一つであるから述べなくてはいけない。

 

遅い時と速い時の違いとして、脚の引きつけ具合の違いが存在する。

 

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左が速い時のK

 

同じ接地タイミングでの、脚の引きつけを見てみよう。

畳み込みにも違いがあるが、次の脚がどこまで引きつけられているかが異なる。


疲労で引きつけにくくなっていると言えばそれで終わりだが、疲労に打ち勝って脚を引きつけられたらどれほど速くなれるだろうか?

 

 

まとめ

 


速い走り(左)と遅い走り(右)

 

一応同じタイミングでの比較動画を作ってみたので、見てもらいたい。

他にも色々なことが見つかるかもしれない。

 

 

以上、速い理由を3つ述べてきた。

 

・振り下げが遅い

・重心が乗っている

・引きつけが早い

 

重心を乗せるのはそこまで大変な話じゃない。

むしろ、振り下げを遅くすることの方が、速くなると考える。

 

振り下げを遅くする、という言い方は間違っているだろう。

意識的に振り下げを遅くすることなんてできないし、しちゃアカン。

 

多分、モモの振り上げ動作のベクトルが斜め上に向いているかどうかとか、他に要因が確実にあり、振り下げ速度は、目に見える結果でしかない。

 

でも、この振り下げ速度とラストの速さには強い相関があると確信する。

(股関節周りの角速度と膝周りの角速度とラスト100mの時間を比較すれば、相関が出てくるだろう。)

 

 

 

Kは坂ではできていない

 

これも見る必要はないが、坂ではKは、お得意の引きつけやら振り下げやらができていない。

 

 


坂 K 

(白い服がK。手前を走る黒い子がF)

 

むしろ、Fが速かったのだ。

 

Fの速さは圧倒的であった。

Fは坂が得意だというが、得意不得意では片付けられない速い理由がある。

 

Fが速い理由を、これまたビデオ係をしていた僕は気づいたので、次回まとめることにしよう。