10/7(月) 接地とはなんなのか?
10/7
色々とやばいクイズ
この記事は部のメンバーとも物議を醸した。
多くの意見を聞いていると、「このクイズは誰も間違えない」ということか結論が見えてきたことは内緒にしておこうか。
中には「大丈夫。俺はちゃんと引っかかったから」という人もいたけど、多くの人は正解を選ぶようだ。
米津玄師の名曲viviにいろんな解釈があるように、このクイズも色々な視点で考えることができる。
様々な解釈
改めて考えてみよう。
この絵から両者の走りを、何通りの方法で評価できるかい?
今のところの意見を列挙すればこうなるだろう。
・そもそも足が伸びきっている速い人を見たことがない
・左は腰が下がっている
・地面からの抗力のベクトルが上に向いている
・脚が後ろに残っている
・腰(重心)と接地の位置のズレが左はある
そんなたくさんの意見がある中で、カイトから面白い意見をもらった。
「接地の位置が完全な真下じゃないから力がうまく伝わらなくて無理やり前に押し出すから無駄な力が多い」
接地位置とパワーの関係は、今自分が全力をあげて開発しているp4の根本をついているように思える。
接地とは何か
接地とは何か、という簡単で深すぎる問いを避けることは出来なさそうだ。
接地位置に関する考えてきたことを深めつつまとめてみよう。
接地とは「地面との接続」と言える。
もっと言えば、「地面とのコミュニケーション」とか。
なぜそう言えるかというと、そう考えるとうまく話ができるから、としか言えない。
接地区間と有効接地点を定義する
走っている際に人が物理的に地面に足をついている時間は思ったより長い。
脚は地面に着いた後、瞬間的に離れるわけではない。
本当に力を入れている瞬間っていうのは、ある一瞬、一点に限られそうだ。
ここが接地のややこしいところなんだ。
つまり、実際に脚が接地しているのはまぁまぁ長いんだけど、実際に効果を持つ瞬間はその中の一瞬で、そこを見極めて走りを評価しなくてはいけないんだ。
物理的に接地している区間を接地区間、走りへとパワーを伝える接地をしている点を有効接地点と呼ぼうか。
この図では、接地足だけを描き、有効接地点が接地区間の最初にあるが、有効接地点は接地区間のどこにあるかはわからない。
実際に足が地面に着いているうちの、どのタイミングで主にパワーが伝わっているかは、走りによるのだ。
つまり、目に見える接地区間だけで走りは評価できず、むしろ、その接地区間の中のどこに有効接地点があるか、どのタイミングでパワーを加えているかを考えなくてはいけないのだ。
ここで、接地位置は3通りしかないことを共通理解しなくてはいけない。
重心の作用線より前か、線上か、線より後ろか。
有効接地点の位置によって、地面へのエネルギー伝達効率とベクトルが変わってくる。
つまり、パワーを加えるタイミングによって、反発をうまく使えるかどうかが変わってくる。
例えば、俗にいう地面からの反発力を絵に表してみようか。
ここまでの準備をした上で、例のクイズを見てみよう。
両者の違いは?
どちらとも、足がつき始めるタイミングは、共に重心のほぼ真下で共通している。
なのに、片方は足が流れ、もう片方は流れていない。
両者、接地区間の開始位置は同じなのに、どこでこの差が生まれるのか。膝の柔らかさか?まさか。
その違いは、接地区間内に存在する有効接地点の位置で説明がつく。有効接地点が異なるのだ。
つまり、重心の真下で足をつくのはいいのだが、その瞬間にパワーを込めることができれば、しっかり重心の真下で有効な接地ができる。
でも、もし、重心の真下で足をついたはいいが、しばらくして、重心よりも後ろでパワーを込めたらどうなるか。
もちろん足が流れる。
なぜ足をつくタイミングと、パワーを加えるタイミングがずれる?
パワーを加えるタイミングが遅れるのはどんな原因があるのか?
・接地の意識の問題
・接地時間が長すぎる
・プライオメトリクス的 (爆発的) な動きに慣れていない
接地時間が長ければ長いほど接地は崩れる。
例えば、重心の真下で足をついたとしても、接地時間が長ければ、重心よりはるか後ろで実際は地面を押すことになるかもしれないからだ。
足が流れることを直しても意味がない
脚が後ろに流れているのが悪いのではない。あくまでそれは結果。
足が流れる理由はたくさんあるだろう。事実、自分の400のラストで流れるのは、過度な前傾を作り出しているせいでもあったし、 筋疲労によりももの引付けができなくなっているからでもあった。
それらいずれも、根本の原因は前傾姿勢だったり、筋持久力や筋肉の使い方であったり、他のところに理由があった。
これも同じ話だ。足が流れること自体ではなく、その根源的な原因は接地位置 (有効接地点) にあるのだ。そこを直さなくては意味がないのだ。
そして、見かけの接地区間に騙されず、パワーが真に伝わっている点 (有効接地点) を評価しなくてはいけないのだ。