1/28 (火) 1,2月のメニューの作り方を過去のメニューから考える
はじめに
短距離パートの400mスプリンターが集まったブロック、"短長"。
自分は、そこのチーフとしてメニュー作りを任されている。
1ヶ月半前から、怪我で自分は走っていない。
(まぁ実際は、ちょくちょく走ったせいで怪我が長引いたんだが、その話はまたいつか)
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途中の考察はたいへん長い。
!最後のまとめのところだけ読めば良い!
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怪我をしたチーフがメニューを作れるのか?
怪我をして、実際に走っていないと、疲労具合や流れとか、今何が求められているのかとか、なんも分からない。
それはそうだろう。
こっちはずっと練習中マネージャーやってんだから、選手の気持ちなんて1ヶ月半有れば忘れる。
だから昨日まで、メニューが全く思いつかなかった。
メニュー構成とかの前に、距離も意図も流れも強度も、なんも分からない。
やがて、自分はメニューを作る資格が、少なくとも今は無いと考え始めた。
元チーフのはるやさんにその話をした。はるやさんは言った。
「資格があるかどうかの前に、作る責任はあるよね。」
過去のメニューを参考にする
過去のメニューから、この時期のメニューの考え方を吸収できるかもしれない。
陸上部のサーバ上に、過去6年分のメニューがデータ化されて残っていた。
さっそく、作業に取り掛かった。
2014年から2019年までの6年分、1,2月のメニューを拾い起こした。
本来、3月以降の流れもセットだが、シーズンが毎回同じ時期にあることと、とりあえずまずメニューの様子を知ることを優先して、1,2月の分のメニューだけに絞った。
一年ずつ評価・考察し、最後に全体を通しての流れを考える。
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2019
・基本、150以下で多めに組んである
1 低-中
2 中
3 中
4 高
5 中-高
6 高
7 高
1月は短い距離で加速の練習が多い。2月に入ってから、長い距離(と言っても150-200m)で複数本走る練習。2本セットが基本。2本目も走れるような走り方を身につける必要があった年。
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2018
・月曜日は必ずfreeで疲労抜き。水曜土曜で250以上の高強度複数本
・waveとtmp(テンポ走)を多用。長い距離を低強度で走るメニューも多い
1 高
2 中
3 高
4 中
5 中
6 高
7 高
全体的に強度が毎週高い。
自分でスピードを設定する必要があった年。
中強度をtmpやwaveで作っていたので、そこで強度を以下に落とせるか。
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2017
月曜は毎回freeにして疲労抜き。
200以上の距離で2から3セットほどを繰り返す。
1 高
2 高
3 高
4 高
5 高
6 高
7 中
8 中
400mを二分割(200+200,250+150,(350+150))して、間を250m walkとするメニューが多い。400mスプリンター向け。
400mを直接走らず、分割して強度を高めつつ400mを意識できるか。2セットはあるので、1セット目で潰れないように楽に走る必要がある。
150*3*2
200*5
250*4
40s *5
が気になった。スピードを出すより、後半まで残す走り方や体力トレーニングとしてのメニューだろう。
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2016
150*3*2 r=250m walk
150*5*2 r=250m walk
おそらくこの部の伝統メニュー。確認できる限り、2014年以降からある。2018年に受け継がれなくなった。
水:低 土:高
↓↑
水:高 土:高
の週の交互。水曜日を低くする方法として、距離を100以下で組んだり、tmpにしたり。
300*5 250*4 350*3 2.5+2+1.5+1 と伝統メニューの組み合わせが全ての年。
精神的にきそう。スピード練習とは程遠いメニュー。2017のように、400を分割したりしたガイド付きのメニューではないので、うまく走れるか、吸収できるかは個人の技量にかかった年。放任主義的。
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2015
全体的に信じられないほどレストが短い年。ものすごいスピードでメニューが終わったことだろう。
walkつなぎか、平均5minのレストかで複数本複数セット。
400を分割(2+1.5 , 3+1 , 1+2+1)して、2,3セット。準決、決勝まで走りきるメニューか。
40s*5を3週連続で行なっている。
サーキットと坂で強度を落としたとしても、あまりにも高強度続き。
おそらく、ほぼ毎週ある150*3*2や150*4*2 (r=250m walk)で強度をそこまであげなかったのだろう。テンポ走的な立場か。
平均して6本以上の本数を走っている。本数は多めか。スピード練習とは程遠い。こちらも完全に体力トレーニングの期間真っ最中かだろう
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2014
雪でメニューが狂った年。
400に近い距離を複数本やることが多い。
300*4 500*4 (150+300)*3
水曜か土曜のどちらかに400に近い複数本のメニューを入れて、片方は100以下の加速練習、というパターン計画。
スピード練習といっても、冬季練習に適応させるためか、レストを短くしている。
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6年分のまとめ
・伝統メニュー 150*(3~4)*(2~3) は強度中くらいとして採用されていた
・tmp wave 坂 サーキット 100以下 で強度を下げていた
・400mを二分割して2~3セット走るガイドメニューがよく採用されていた
・水曜土曜のどちらかを強度を下げるか、2週単位で強度の波を作るか、高強度にも程強度にもなるメニューを入れるかして波を作っていた
・スピード練習を混ぜていた年(2019 2018 2014)もあったが、基本スピード練習とは程遠かった
・2016以前はレストを極端に短くしていた
・2017以前は、レストをwalkにして、分割ガイドメニューをこなしていた
再度まとめて今後へ活かす
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A) 伝統メニュー
150*(3~4)*(2~3)
B) 分割ガイドメニュー
(200+200)*2-3 (250+150)*2-3 (300+100)*2-3 (350+150)*2-3
C) ピラミッドメニュー
(300+200+100)*2 , 250+200+150+100 , 100+300+500+300+100
D) 繰り返しメニュー
200*5 250*4 300*5 350*3 40s*5
E) その他
free , tmp , wave(200以上) , 坂 , サーキット , 100以下 , 往復走 , TT
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注) 分割ガイドメニュー:400mを分割したメニュー。ガイドっていうのは、メニューの意図がわかりやすく、400mの練習のトレーニングガイドがついているような練習ということ
注) 出てくる名前は全て勝手に命名
A 伝統メニュー と E その他 のどちらかもしくは両方毎週チョイスしながら、
B 分割ガイドメニュー を中心として、時々 C ピラミッドメニュー かD 繰り返しメニューを導入する。
波はその週の中(月,水,土)か2週単位がベースで、A伝統メニューやD繰り返しメニューを取り入れて選手自身に強度設定を自由にさせるという方法もある。
レストを極端に短くしたり、walkにして繋ぐことで、強度を上げたりメニューの目標をカスタマイズできる。特に1,2月はその手法は頻繁に使われていた。同時に、スピード練習の性質を無くし、体力トレーニングへと変化させる意図もあっただろう
なるほど確かに、ミクロサイクルの考え方やピリオダイゼーションなどのトレーニング理論では、4週間単位で強度の波を作るべきだと言われている。
しかし、うちの部活は月水土の3日しか練習しないし、月曜はだいたいfree。
トレーニング理論よりも過去の万人ウケするメニューを参考にした方が良いかもしれない。実際、データを起こしているうちに、様々な法則や流れが見えてきた。
これらは、とても興味深く、来週からのメニュー作りの参考になるに違いない。