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大学生スプリンターの考えすぎる練習日誌

どこにでもいる大学2年生の短距離練習日誌

みんなが間違えるクイズ。速い人のフォームはどっち?

 

 

 

講習会

27大学の1日目の夜に、陸上の講習会があった。

よくわからないけど面白そうだったのでメールで申し込みをしておいた。

 

どうやらうちの大学で申し込んだのは宮城と自分だけだった。

 

どこでやるのかも、何をやるのかも、いつから始まるのかも何も聞かされないまま、講習会に向かってそうな他の大学の集団の後ろについて歩いた。

 

どうやら彼らも詳細は知らないらしい。

 

ドリルでもやるのかと思っていたけど、着いたのは講義室。部屋には、プロジェクターを準備する埼玉大の先生と、それを静かに待つ講習生100名ほど。

 

だいぶ面白い内容だったので、忘れないようにメモをここに書いておこうか。

 

講義で扱った資料だが、常識的にここで勝手に掲載することは許されないので、資料無しで、所々資料に似せて作った図を使って講義内容を振り返ろう。

 

基礎中の基礎だってさ

 

講義の最初にやるミニクイズ。

陸上の基礎理論についてのそれとなると、間違えてはいけない。

 

 

この二つのフォームのうち正しいのはどっちか?

 

これでも図は講義資料よりきれいにしてある。

 

 

 

 

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悩む間もなく即答した。そして間違えた。

 左が正しいんじゃないの?

 

この答えには1998年に発表された理論が裏にある。

(伊藤章他 1998)

 

 

膝は曲がってついたほうがいい

  

簡単に言ってしまえば、

 

遅い人は着地してから膝を伸ばすけど、

速い人は膝を曲げたままキックする

 

それによって、より真下にパワーを加えられる

 

 

と言う内容。

 

 

実はこの論文では他に二つの事実に言及している。

 

・モモは高くあげなくて良い

・離地時の膝の角度は小さいほうがいい

・足先は伸ばさないほうがいい

 

2つ目の、離地時の膝の角度は小さいほうがいい、というのが、先ほどのミニクイズの答えの根拠になっている。

 

 

モモを高く上げなくても良い、というのは、簡単に頷ける内容じゃないが、分析結果として受け入れる必要があるのかもしれない。実際、この論文が発表されてから、それまでのコーチングの常識である「膝は高く上げたほうがいい」というのは覆され、指導が変わったという。

 

 

足先は伸ばさないほうがいいというのはよくわからない。細かいので、今は知らなくていいと思う。

 

 

膝が曲がっていたほうがいいというのを騙し騙し納得させられる図がある。自分はこの図で説明された時、いくつかの疑問が頭から離れなかったが、とりあえずその図を使って説明しようか。

 

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膝の移動距離自体は等しい ( ΔTa = ΔTb ) が、足先の移動距離 ( パワー ) は、膝の角度が小さいほうが、膝が曲がっていたほうが大きい ( Fa  = Fb ) ではないか。

 

同じ角運動でより大きな変位が生じる、とでもいえば良いのか。

 

 

 

エネルギー系の話

 

今の話は難しかったが、次の話は簡単だ。

 

100200400のエネルギー系の話だ。

 

 

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細かい割合に着目したグラフを下に載せる。

 

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この図から言えることは山ほどあるが、400について言えば、400mの中でのエネルギー源として、なんと半分も有酸素系が占めているということだ。

 

つまり、400スプリンターに、ロングジョグなどの練習を積極的に取り入れる必要があるというのだ。

 

しかも、耳を疑ったことに、酸化系のトレーニングだけしていれば49秒台には乗ると言う。

 

同様のことは100mにも言えて、このエネルギー系の割合が発表されるまで、100mスプリンターにロングジョグをさせたら遅くなると言われていたが、それがある意味間違っているということを示している。

 

 

鵜呑みにするのはどうかと思うが、とても面白い考えだと思う。

 

エネルギー系から最適なトレーニングを導くアプローチは、今後の練習に取り入れていきたいと思う。

 

 

 

 

 

100m 

 

100mのフィニッシュタイムと最大スピードは当然のように相関がある。

 

このようなグラフを載せるのは理系としてよろしくないが、ここでは許していただきたい。

 

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100mで10秒台に乗るためには、最大スピードが

11.6 m/s ~ 11.8 m/s 

よりも速い必要がある。

 

面白いのは、30mまでのタイムと、100mのフィニッシュタイムに相関があるということだ。

 

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100mで10秒台になるためには、30mにかかる時間が

3.79 s ~ 3.93 s 

以内に収まる必要がある。

 

このラップタイムで100mを分析したり、練習の指標に使えるかもしれない。