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大学生スプリンターの考えすぎる練習日誌

どこにでもいる大学2年生の短距離練習日誌

10/19(土) きつい練習を乗り切るための備忘録

10/19(土) with 農工

 

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まとめ

 

・ズルい走りは、蛇の脱皮

・ズルい走りは加速用。楽な走りは中間用

・実際に歩き続ける。それが何よりも難しい

・タイム感 ??

 

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メニュー

(300+300) *2

120

1000m

 

結果

 

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300① 37"85

300② 39"13

300③ 38"70

300④ 39"39

 

1000m : 3'40

 

 

久しぶりの農工との合同練習を祝うかのように、雨が降り止んだ

雨が降っていたら300*2に変更されていたであろうメニューは再び息を吹き返し、何もなかったかのようにこの狂ったメニューが始まった。

 

4本の300いかに楽に速く走るかがポイントになってくる。

 

走り終わったあとのぶっ倒れている姿が鮮明に思い浮かぶ中、恐る恐るアップを始めた。

 

 

 

 

このメニューは完全に狂っている

 

 

300m二本お気持ち7分のレストをサンドイッチしたこのメニューは、走る前から分かっていた通り、頭がおかしい練習だった。

 

全く回復しない状態で2本走ってやっとメニューの半分。

 

1セット目でハムからケツあたりがケツワレしていて、2セット目は絶望だった。

 

このメニューを立てたカイトは、気持ちいいケツワレ(??)とか言っていたけど、間違っても共感できそうになかった。

 

 

結局、なんとか4本をまぁまぁなタイムで走り終えたわけだが、それは「ズルい走り」と「楽な走り」を上手く組み合わせたおかげだと思う。

 

 

ズル

 

「楽な走り」は、もともと冬季のヤバきついメニュー吐かずにこなすための走りだった。

 

理工系の400m予選前に、緊張する僕に対して、はるやさんが「ずるく走れ」と言ったのをよく覚えている。

 

400mはもちろん、今日走る300mやそれを複数繰り返すメニューは、どう考えてもきつい

 

いくら体力があろうと、走力があろうと、きついメニューなのだ。速く走れる人はそのぶん速く走るからきつくなる。

 

 

何が言いたいかというと、今日のような見るからに聞くからにきついメニューを実は待ち望んでいたのだ。1ヶ月近く前からやりたかった、「ズルい走り」をしたかったから。

 

 

走りをズルする方法はいくらでもある。

フライングすればいいし、僕らlongスプリンターは、350mくらいのメニューになると、必ずスタートする前に後ろを向いて「逆走した方が近くね?」と、お決まりの言葉を吐く。

 

僕が今考えている「ズルい走り」ってのはそういう感じ。

 

 

滑稽で残念な走り

 

 

miyublog2.hatenablog.com

 

 

この前の、予定になかった300mを走ることになった時のことだ。

隣を走るタツミさんの走りがとても楽そうだった。

 

と言っても、後から動画を見て思っただけなんだけど、300mのはじめ100を走るタツミさんの走りは、僕の走りと比べて一目見て楽そうだった。

 

頑張って腕振って、地面を押している僕の走りは、そのタツミさんの走りに負けていた。別に勝ち負けとかどうでもいいけど、遅いのは確かだ。

 

面白い。頑張って、パワーをたくさん使って、筋肉を多く動員している人が、もっと楽に加速している人に負けるというのは。

これで、僕にはもっと楽な加速ができる可能性が示された。

 

 

 

そのタツミさんの走りの、見た目をそっくりそのままパクって作った。それが今回の「ズルい走り」である。

 


300m 36"51

 

 

 

 

ズルい走りと楽な走り

 

ズルい走りと楽な走りは共存する

というのも、ズルい走りってのは、加速において効果を発揮し、楽な走りは中間疾走で効果を持つからだ。

 

ズルい走り : 加速

楽な走り  : 中間疾走 

 

ズルい走りは、ヘビの脱皮した皮に例えれば良い。中身のないような、スッカスカな走り。そんなイメージ。

 

人の走りを、その見た目からパクって作った走りだから、厳密な走り方があるわけではなく、イメージと感覚だけで構成されている。

 

 

スッカスカでもいい

 

何度も繰り返し唱えるが、パワーを加えれば速くなるわけじゃない

 

むしろ素人が走れば、パワーを加えたら逆に走りが硬くなったり小さくなったりして遅くなる。

(加えたパワーをしっかり推進力に変換することに慣れる、という点でも100mの練習は必須だろう。)

 

 

この、スッカスカな「ズルい加速」は前傾することを必要としない。

むしろ前傾して加速したら「もたない」。

 

足の回転数を小さじ一杯だけ上げて、あとはひたすらズルく、力を加えず、中身がスッカスカな加速をすればいい

 

(多分、回転数を上げ過ぎるのは逆に疲れると思う。タツタツミさんの走りは自分より回転数が大きかったわけじゃないから。)

 

 

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乳酸を抜くすごい方法 (正しくは疲労を抜く方法)

 

 (

乳酸は疲労物質じゃない。走り終わって脚がきつくなるのが乳酸のせいだ、なんて言って許されるのは平成初期までだ。今は乳酸は疲労物質ではないし、むしろATP-CP系のエネルギー源だとわかっている。

悪者扱いされてきたのに急に冤罪が示されたようだ。スポーツ科学ってこういうところあるよね。

もはや筋組織が弱酸性になっていることすら疲労に関係ないと言われてきている。

 )

 

 

話が逸れた。

でも、一応わかりやすいように乳酸を抜く、と言った。正確には、疲労を抜く方法かな。

 

 

残念だが、その方法はとても難しい

つまり、やばいメニューとか300とか400とか走った後のケツワレを治す方法は、容易じゃないのだ。

 

今日改めてその難しさがわかった。

 

 

 

具体的に話そう。

 

カイトに聞いたんだ。「ケツワレを直す方法は?」って。

そしたらカイトは自信満々に答えた。

 

「歩き続けるんだ」

 

 

 

誰でも知ってる

 

歩き続けろ。

 

こんな話は誰でも知っている。

コピペでネットにばら撒かれているだろうし、中高の部活の顧問はみんなよく言ったことだろう。

 

言われなくても思いつく。

 

「何を当たり前の事を」って思ってしまった。

 そんな話、誰でも知っている内容じゃないか。

 

 

誰でも知ってるけど誰もやらない

 

 

カイトの話を聞いて「何を当たり前の事を」と思った自分は、1セット目終わってからついさっきまでの間、芝生で寝転がっていた

 

周りのメンバーも芝生に座るかタータンの上で丸太のように倒れている。

 

でもカイトは一度も座っていなかった。

カイトは「一瞬たりとも座らない」と言っていた。その言葉は本当だった。

 

今まで何度も言われてきた「歩き続ければ楽になる」の言葉は、もうとっくに安っぽくなってたけど、カイトの言葉だけは信じて良かった。

 

 

 

それからずっと歩き続けた。そしたら楽になった。

だからその時、歩き続けるのは簡単な事なんだ、って誤解してしまった。

でも、それは序章の序章だった。

 

歩き続けるのはすごい大変

 

 

3004本走ったあと、つまり、全部のメニューが終わった時のことだ。

 

脳裏に残っていた「歩き続けろ」の言葉は、ケツワレと疲労に負けた。歩けなかった。

 

しばらくぶっ倒れた自分のところにカイトがやってきて、肩を貸してくれたが、なかなか起き上がれなかった。

 

起きようとしてはぶっ倒れての繰り返し。ようやく起き上がっても、数秒立っているのがやっとで、肩を思いっきり借りてやっと歩き続けられた。

 

 

正直言おう。

3004本走ることよりも何倍も、走り終わったとに100m歩く方がキツかった

 

倒れたい。寝転がってもがいた方が楽だろうに、歩かなくちゃいけない。

 

倒れちゃいなよ、っていう誘惑や身体の極限的な疲労が、僕が歩き続けるのを阻止しようとする。

 

 

カイトウォーク

 

「そっちの短長メンバー、全員殺しちゃったみたい」

 

このメニューの設定者のカイトはそう言って笑った。この殺人鬼は、同じメニューを自分より速く走ったはずなのにピンピンしてる。

 

「今ジョグしてきた」

 

想像外の言葉を吐いた。考えていた以上にやっぱすげぇ。

 

メニューの直後にジョグはできなくても、せめて歩き続けられるように、座らずにいられるようになりたい。

 

その方法を知っているかどうかなんてどうだっていい。

 

結局、実力のある人とない人の違いは、そんなくだらないようなことを実際にやるか、ただ口で唱えるだけか、そこにある気がする。

 

だから次からは歩き続けることにしよう。

 

 

 

 

 

タイム感

 

またしてもカイトの話だが、カイトはタイム感があると言う。

 

そもそも農工大の練習では、なんとタイムを計らないらしい。流し読みだけして、基本は個人のタイム感を養うのだとか。

 

初めて聞く言葉だが、そのタイム感ってやつをカイトは、少なくとも昔は持っていたらしい。

 

300m36から45まで、1秒ずつ正確に刻んで走れたとか。

 

タイムを計らない練習をどのくらい取り入れるかは別の話だが、タイム感ってのは魅力的に聞こえた。